IT用語におけるインデントとは「サービスの中断や品質低下を引き起こす何らかの出来事」のことです。利用者がシステムを使って目的を遂行出来ない状態全般を指し、障害やエラーによるものから、ソフトウェアの使い方が分からないといったことまで含みます。これらの影響を最小限に抑え、早期の復旧に導くための一連のプロセスがインシデント管理です。これに対してITサービス管理とは、ITサービスの安定的かつ継続的な提供を実現するマネジメントシステムのことです。提供者目線のみならず、ユーザー側の視点も取り入れながらサービスの質の向上を図ります。インデントが発生すれば当然ユーザーの満足度は下がってしまいます。そのためインシデント管理とITサービス管理は切っても切り離せない関係にあると言えます。これらを効率的に行うために役立つのがインシデント管理ツールやITサービス管理ツールなどのサービスデスクツールです。
インシデント管理のツールで業務を効率化
管理ツールを活用すれば、今まで手作業で行っていた仕事を自動化したり、簡単にナレッジを蓄積したりすることが可能になります。例えば今までメールと表計算ソフトで行っていた問い合わせの対応です。従来の方法では、メールで遣り取りを終えた後、別のソフトにコピーしてまとめるという作業が必要でしたが、問い合わせメールを自動的にインデントとして登録してくれるツールに置換してみるとどうでしょう。登録されたインデントをカテゴリーや優先度の高さなどによって分類するだけでデータベースが構築されます。問い合わせへの返信もツールが記録してくれるため、発生から収束まですべてが一つのツール上で完結することになります。類似のインデントが発生した場合もカテゴリーに沿って検索・参照が可能になり、スムーズにインシデント管理が出来るようになるのです。
インシデント管理のツールの上手な選び方
インデント管理を含むサービスデスクツールを選ぶ上で重要視したいのは、ITILに基づいたツールであること、そして自社の業務内容に対し適切な機能を持っていることです。必ずしもインデント管理専用のツールである必要はなく、インデント管理機能に特化したITサービス管理ツールも存在します。こうしたツールではインデント管理をITサービス管理の一環として位置付けており、IT関連の事柄を一元管理出来るため高い利便性を誇ります。また、必要な機能を見極めることも大切です。情報の共有が上手くいっていないと考えているなら、自動で関係者に通知を送る機能を持ったツールを選ぶ、といった具合です。最近ではAIを用いた分析機能を持つものなども登場しており、インデント管理やITサービス管理のツールは今後ますます発展を見せることが予想されます。